中小企業社長は大企業経験シニア人材の経営幹部採用をしてはいけない理由。優良な人材の流出リスクが増加する

キャリア戦略


なぜ人は会社に失望するのか


転職を検討している方々の転職動機は何でしょうか?
・人間関係?
・所得水準?職務環境?
・会社の将来性?

色々あると思いますが、一番影響を与えるのはあなたの上長、そして同じ部門の仲間と言う所属組織の環境が一番大きいです。
また、会社の代表の何気ない一言、所作は物凄く影響が大きいです。
優秀な人材であればなおさら感度が高いのです。

経営学ではこの辺りはリーダーシップ論に含まれますが、他人と仕事をする、他人に仕事をして頂くのはそんなに単純なものではありません。
当然のことながら報酬、評価、共通目標の設定と言った人事施策だけでなく、適切なコミュニケーション、業務プロセスの改善など部門長は包括的、横断的に部門メンバーの状態を確認し適切な施策を講じる必要があります。

今回は大企業経験+シニア人材を誤って採用してしまったために事業が崩壊してしまうケースです。
転職を検討されている方はなぜ会社、社長は誤った経営判断をしてしまった理由は理解しておいた方が良いです。

あなたの会社は未だにレコード、CDを使っているんですか?

日本経済は労働人材の不足、大企業ー中小企業の格差が拡大しているのは事実です。
中小企業では特に優秀な人材の確保が大企業に比べ相対的に難しく、または事業拡大や事業立て直しなど変革が伴う困難な場合は経験値の高いシニア人材を活用するのは割と合理的な判断です。

業種別に見た不足人材

労働分配率の推移

一方で私は大企業シニア人材が困難な経営課題を幹部登用で機能しているのは非常に稀なケースと判断しています。
理由は簡単で私を唸らせるほど優秀かつ成果を創出し経営者、事業責任者として事業をけん引する方に会ったことがないからです。

シニア人材を経営幹部に採用して失敗する理由①

国、時代に合った最適なチームビルディング、リーダーシップ手法を選べない。
昭和時代のやり方しかない

様々な国で事業責任者、経営者として仕事をしましたが、リーダーシップの手法は国民性を考慮し変える必要がありました。
典型的な例がロシアです。
やや強引すぎるほど強いリーダーシップを持つ経営者として優秀と見做される国民性があり、そういったリーダーである場合はスタッフの忠誠心、帰属意識が向上します。
逆に同じやり方はフランスやスペインでは通用しません。

このように国、時代に合わせてチームビルディング、リーダーシップ手法を変える必要があるのです。

しかしながら、大企業のシニア世代ほど今の時代にフィットしない価値観を持っています。
さらに言えば、彼らはリーダーシップ論、チームビルディング論に関して体系的に学んでおらず、大企業と言えど先進国で低い生産性に留まる日本企業での業務経験しかなく、自分のやり方を柔軟に変えることが出来ません。

大企業シニア人材を経営幹部に採用するのは、今の時代にレコードを使って音楽を販売するようなものです。

なぜ中小企業の社長は彼らをありがたく思って経営幹部に起用するのでしょうか?

また、昭和世代、大企業の組織形態の特徴ですが、彼らは権威に対して非常に従順であり自らもそのような楽なポジションになることを夢見て生きています。
つまり、役職に対して強力な権限、権威があると考えています。
よって、今の時代でそぐわない言葉を使用します。

手が動かせない、喋れない、考えれない壊れかけの古時計

中堅、中小企業は経営幹部、部門長が自らプレイングマネージャー、もしくは自らが分析、資料作成をおこない体、頭を使って積極的に動く必要があります。

シニア人材を経営幹部に採用して失敗する理由②

自らが体と頭を使い積極的に動く行動力、思考力がない

でもね。大企業シニア人材は出来ないんですよ。
彼らは自らやらない(出来ない)事を棚に上げて、既存のスタッフに対してそんなことも出来ないのかと不満を言うのです。
人を動かすための方針や事業戦略とか絶対に明文化しません。
また、人に伝わるプレゼン能力も持っていない。
本質的な問題はスタッフを動いてもらうためのコミュニケーション能力やリーダーシップ力がシニア人材に欠如していることなのです。

大企業の場合は組織スラックがあり若手の従業員がいますからね。
彼らにまず作らせてブラッシュアップしていくようなことが出来ます。

でも、中小企業にはそういった人材がいないケースが多い。また、そういう育成を受けてなかったのだし、なおさら外部から招聘されたご自身がまず率先してやる必要がある。

自分の知らない業種、企業で新しいことを知る、考える、行動する。
これは思考力、体力共に非常に消費します。私の場合は生命力削るような感じ取り組んでいますが、その覚悟も意思もないんですよ。

悪質なウィルスをばら撒く組織クラッシャー

さて、あなたがある組織(部門)のトップの場合、限られた経営資源をどのように活用し大きな成果を上げますか?
コストを掛けない方法は人材をしっかり育成させること、自らが積極的に動く事です。
でも、これには部門トップの時間を掛ける必要があります。

シニア人材を経営幹部に採用して失敗する理由③

使えない人材を積極的に排除し、コストを掛けて他の人材に切り替える
つまり人材育成意識もやり方もない

しかし、シニア人材はそのような長期的な観点より、いかに彼らが働く3年くらいを自分の為の組織を築けるかに心血を注ぎます。

そんな無能なシニア人材が多用する言葉です。これに近い言葉が出た際は要注意です。

「外資or大企業に働いたことがあるけど、使えない人間なんてすぐ解雇なんだよね」
「こいつは使えないから辞めてもらって、早く中途採用を進めよう」


でも、このような無用なシニア人材の元で成果を上げる優秀な人材はほぼ見つからないため、採用→解雇を繰り返し、良い人材が見つからないとずっと言い訳するわけです。
マッチポンプなのですが、3年くらいはこの言い訳を使えるので戦略的には成功でしょうか?

なぜ社長は彼らを見抜けない?

そもそも社長が本質的に自分のビジネスに興味がない。
厳しい事を自分に代わって言ってくれる人が欲しい。
人事部門が弱く、人材の目利き能力がない。
色々な理由はあります。

私は大企業シニア人材を否定しているわけではありません。
あなたたちが単なる労働人材として働くのであれば問題ありませんが、企業規模が小さい企業で経営幹部、部門長と言った戦略に関わる中核人材で働くのであれば大いに疑問を提起します。


もちろん現場でプレイングマネージャーとしても経営者としても精力的に活動されている優秀な大企業経験シニア人材がご活躍されているのはいるかと思いますが、大多数はそうではないのです。

もっと言うと、あなたたちが解決を先送りした問題が顕在し解決するのは次の世代であり、企業再生で生活している自分はそんなあなたたちが本当に許せないのです。
無知ほど悪な事はないのです。

結局不幸になるのは会社に忠誠心の高い従業員、将来の幹部候補と言った者たちであり、彼らが離散して企業成長が望めなくなります。


それよりも優秀な人材を発掘、育成する方がよっぽど合理的です。
また、外部の組織活性化のスペシャリストから一時的にオンハンズで支援を受けた方が良いんですよ。
良いところがみつからないなら、いつでも相談に乗りますよ。


転職を検討されている方は所属企業がシニア人材を経営幹部に起用した場合は、転職決定の1つの判断にしてください。
若い事は非常に大きな人材価値がありますので。


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