海外駐在中の退職、転職は可能か?

キャリア戦略

海外駐在で転職をご検討されている方もいるのではないでしょうか?
私は海外駐在中に転職を経験し、また別の会社で他の友人の方々も同様に転職を経験しています。
今日は海外駐在員の転職機会と海外駐在中の退職に関してです。

海外駐在員の減少

こちらはJETROの2021年の日系企業の実態調査です。

コロナの影響を受け、日系企業はコスト圧縮のため海外駐在員を減少させています。
外部環境の変化としてオンラインミーティングツールなど場所を選ばずに仕事が出来る環境が整ったのも大きいですね。
そして、これは経営の現地化とのセットとして管理・経営体制の見直しを加速しているのが下記でも明らかです。

一方でこれで読み取れる日系企業の考えは相変わらず「従業員=コスト」と捉えている事です。
企業は社会経済活動において現地の人、コミュニティー、企業に価値ある商品、サービスを提供する事で利益を得ており、その社会の文化、考えを理解する必要があります。
現地の経営化を加速するのは良い事ですが、一方で日本本社の誰が彼らと円滑なコミュニケーション、ビジネス促進をおこなうのでしょうか?

短期的には海外駐在経験のある方がいるから良いのかもしれませんが、持続可能でしょうか?

日本では中小企業の製造業で若手人材が確保できず技術承継問題が顕在化しています。
この問題は自分には、私の会社には関係ないではなく、将来的には海外ビジネスを維持・拡大する上で起こりうる問題なのです
優秀な海外人材を役員登用できる実力のある企業なんて大企業でも限られています。
それが出来ないなら、本質的には人材投資として海外駐在員の継続的な育成が必要です。

短期的には、現在海外駐在員数は減少しており、海外駐在を求める求職者>求人企業の傾向は続くかもしれません。一方で、長期的には経営革新による海外展開が増える企業が今後増加し、現地進出の為の海外要員の求人需要は増加すると期待されています。

海外駐在中に退職は可能か?退職手続きは?

結論からですが、「海外駐在中の退職は可能」です。
但し、あなたも企業も円満に退職するためにいくつか考慮すべき点があります。

項目内容
①退職時期・日本の労働基準法で退職の意思表示から14日後に退職可
・海外現地法人の代表権者かどうか。後任への引継ぎ期間の考慮
②日本帰任費用負担・企業によって異なる
③現地生活費用・契約解除・現地住居は会社との契約か、個人との契約か
・その他生活インフラ契約は会社契約か個人契約か?

①退職時期
原則的に海外駐在員は現地法人との雇用契約を結ぶ形で現地法人からの給与を得ていますが、同時に本社日本法人からも給与を得ています。雇用契約はあくまで日本本社が雇用者であるため、退職の意思表示は本社の日本法人に対しておこないます。
よって、現実的には不可能かと考えますが、退職届提出後の1か月以内に辞めるのは出来ない訳でありません。雇用者と言えど、労働者の退職の自由を奪う事は出来ません。

一方でこの後述べる費用関係に関して円満な終わりを望むのであれば、1~3カ月ほどの引継ぎ期間を考慮するのが良いと考えます。
特に現地法人の代表取締役のポジションの方は後任決定もさることながら、代表交代の登記手続きもあり、それが完了しないと現地ビジネス上で問題が発生します。

ただし、次行く会社の方が明らかに雇用条件が良いのであれば、必要以上に辞める会社の事を考慮する必要もありません。重要なのはあなたのキャリアですから、無駄な時間を消費したくないですよね。

とは言え、責任感ある方だからこそ次の転職先企業もあなたを採用したので、ここはしっかり責任を果たした方が良いと考えるので常識的な判断をしてください。

②日本帰任費用
 1)通常の大企業の場合
 あなたの日本にいる上司は感情的になっているかもしれませんが、退職手続き等は人事部が対応するため、退職を行うにしても日本へ帰任した上で、退職時の書類手続きを対応します。
よって、帰任費用はしっかり日本本社が面倒を見てくれます。

 参考までに:私の部下が海外駐在中に退職を決め、次の就職先は現地企業でした。その方は日本に一度帰任したくなかったのですが、航空券を手配され日本へ一度帰国させられました。

 2)中小企業・中堅企業の場合
 正直なところケースバイケース(企業、社長、上司、人事担当によって異なる)です。
 この規模の企業は感情的になり、帰国費用は会社負担ではなく自己負担の決定をする事があります。
 重要なのは辞める前に十分なコミュニケーションを図る事ですが、さらに保険を掛けておくのであれば、次行く会社に帰国費用に関しての補助も相談しておいた方が良いと考えます。
 私の友人は辞める会社の人事部長が感情的になって帰国費用は自己負担となり、最終的に次の会社が負担してくれたそうです。

③現地生活費用、契約解除
 現地住居の賃貸契約は多くの場合は現地法人が行っている場合は問題ないですが、駐在員が賃貸契約している場合は、契約解除の日時を考慮し退職日を検討してくださいね。
途中解約の場合は結構費用が掛かります。

最後に

あまり辞める会社に特になる事はする必要はありませんが、人との縁は大事すべきで、いい加減な辞め方をすると悪い噂や人脈がこれ以上広がりません。
自分で自分の価値を下げる必要はないので円満な退職を目指してください。

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