給与は上がるのか?

インフレで給与は上がるのか? キャリア戦略


私は現在非常に給与が高いと言われるオーストラリアで雇われ社長として働いています。
日本より先にインフレに突入している環境下で、雇用主の立場として経営で思う事、そして従業員の給与に関してやらなければならない事をお話しします。

給与は上がるのか?

給与が上がる最も単純で簡単な方法は所得水準が低い国から所得水準が高い国へ移り仕事をする事です。実際のところ所得水準が高い国は物価も高いのですが、消費は自分でコントロールできるため貯蓄は明らかに所得水準が高い方が有利です。
オーストラリアでも外食しなければ安いですよ。

厚生労働省白書 令和4年 G7各国の賃金(名目・実質)の推移

G7各国の賃金推移にある通り、日本の賃金水準は上昇していません。
この中で能力を高めることを努力されている方も多いと思いますが、市場の賃金水準が上がらない限り結局のところ大きく賃金が上昇する事はありません。

一方で日本はコストプッシュ型のインフレに入っており、賃金を継続的に上げないと生活が困難になり、消費は減退し経済が底冷えするため企業経営者は最重要課題として取り組む必要があります。

さて、なかなか他の国に移住するのは難しいため、現実的なお話をしましょう。

インフレ下での経営における重要な視点

現在、従業員が約35名程度の小規模の会社を経営しています。
知名度もそれほどなく、慢性的な赤字会社で企業再生を引き受け黒字化と債務超過を脱却したばかりです。

少人数ながらも従業員の人的資源はこの会社にとって貴重な経営資源であり、彼らに引き続き仕事をしてもらわなければ事業の継続性は難しいと考えています。

そうなると重要な点は毎年彼らの給与を継続的にインフレ上昇分引き上げられるかです。
経営者は従業員の家族の人生も含めて責任を持っており、彼らが安心して生活を送れるような環境を作る必要があります。
偽善と言われるかもしれませんが、そこまで思わないと真剣な経営なんて出来ないんです。

私みたいな日本の大企業で働いていた中で、当時の経営幹部から「お前は更迭だ、更迭だ」と言われ続けた身としては同じ事は味わわせたくありません。
(そして彼らはまともに評価しない報酬も増やさず要求だけする。くれくれおじさんが多かった、、)


また、「うちの会社ではそんな給与上げれない。嫌ならやめれば良い」
と開き直るのも手ですが、実際のところ雇用流動性の高い国では従業員は直ぐに簡単にやめます。
また、「衛星要因(給与等)じゃなく、動機付け要因の施策をおこなえば辞めない」
とお考えの経営者もいると思いますが、当然その施策も行っています。

インフレ下の経営者は衛星要因も動機付け要因も十分に対策を行わないといけないのです。

じゃあ、どのすれば従業員の給与を継続的に上げれるのでしょうか?

「付加価値を高める製品・サービスの開発、新市場展開、業態転換と言った高付加価値化」

これが経営者である私の大きな使命です。
非常に難しい課題の為、当然ながら幹部と色々なアイデアを出しながら市場動向の調査や実行可能性を検討してます。


デフレ下で賃金上昇もしない日本企業は高付加価値化に関して業務効率化に重きを置く傾向が高かった。
業務効率化は現在の事業内容を継続した上でオペレーションレベルでの改善のため、経営レベルでの変革が少ないためリスクを嫌う経営陣にとっては非常に都合が良かったのです。
社内政治で必死に媚びを売って経営幹部になり、大胆な事して失敗したら誰だっていやですよね?
その結果が日本の多くの従業員が給与が上がらない状態になっているのです。

「インフレ下では経営レベルが一段階上がりより高度な経営戦略が求められる」
上記の通り、業務効率化と高付加価値化は経営の難易度が本当に違います。
業務効率化も当然難しいのですが経営の質が違うんですよね。
経営者の方ならわかっていただけるかなと思っています。

経営者、経営陣は従業員の給与をコストと考えているだけではこれからの経営戦略を大きく間違うこととなります。皆さんも是非今勤めている企業の中長期的戦略をしっかりご確認ください。

まあ、私も雇われ社長なので従業員の給与を継続的に上げれる戦略を考えましょうと言うと大体皆さん嫌な顔をされます。
でも良いんですよ。社会と言うのはあるべき姿になるものですし、それは国の方針からもうかがい知れることです。

雇用者の我々はまもなく到来する機会に備えて準備しよう

結論としては「何もしない会社で働き続けても給与は増えない。増えても相対的に低い上昇率に留まる。」です。

上記の通りインフレ下では企業は積極的な投資や大胆な経営戦略をおこない付加価値を高める必要があります。
よって、このような企業は高い給与で優秀な人材を積極的に確保する必要があります。
日本政府としても雇用の流動化を促し、日本企業のイノベーション創出、従業員の所得水準の向上を目指す考えです。

ジョブ型雇用に関しては別で詳しく説明しますが、個人個人のキャリアとスキルを見つめなおし、一つの企業に依存しなくても通用するキャリア構築を考える必要があります。

企業は有象無象あり、経営者の質も全く異なります。
国ごとに所得水準が違うように、企業によっても全く異なりこれからはその格差はさらに上昇します。
であれば、より優秀な経営者、経営陣がいる会社で働く方が所得が増えるチャンスが増えます

ぜひ上司だけでなく、経営者、経営陣が何を考えているのか皆さんチェックしてみてください。

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