海外で業務経験を積むなら、海外で事業展開する企業に勤めて海外駐在を希望するのが最も簡単です。
個人だとワーキングホリデーを活用し現地で就職先を見つけビザを更新するなど大変ですが、海外駐在なら企業が手配してくれるため非常に楽です。
また、海外現地の子会社の場合、現地従業員が本社人材だと見なしコミュニケーションが楽になります。
この辺りが実は駐在員の勘違いを生む元なのですが、そもそも海外駐在員はキャリアに有利に働くのでしょうか?
本社側は海外駐在員をそれほど評価してない企業が多い
その企業が海外駐在経験者を重用するかどうかは、取締役会メンバーに海外駐在出身者が多いかで簡単にチェック出来ます。
特に代表取締役に海外駐在経験者がいるかどうかは、その企業のグローバル化を示す重要なファクターです。
逆にそうでない場合は海外駐在員の人的資源価値をそれほど貴重と考えていないかもしれません。
ただし、執行役員と取締役会は会社の機関と異なるので注意してくださいね。
執行役員は社内的な役職の為、部長、課長と変わりません。
さて、駐在員の方と良く交流していますが、どこの企業の本社も割と駐在員には辛辣です。
「最も厳しい日本で商売しているんだ。海外なんて日本ブランドであれば楽に売れる。」
「海外駐在員は楽な環境で遊びまくって良いよな。」
こう言う発言を重役から受けた場合、発言者はおそらく海外でビジネスをした事がなく、海外駐在経験者の軽視は今後も脈々と続くと予想出来ます。
海外駐在員のデメリット
①は最大のデメリットは物理的に社内政治が出来なくなる事ですね。
ある意味島流しですから皆さん予想される通りです。
幹部昇格等の人事は代表取締役や取締役が決めている企業が多いのですが、彼らのような高齢者は社会的に尊敬され自尊心を満たされたい願望が異常に高いです。
限られた数年をちやほやして生きたいじゃないですか。
いまさらストレス抱えて挑戦なんてしたくないんです。
よって、身近にいる忠実な部下を重用するんですね。
この場合、幾ら海外で頑張っても勝ち目はありません。
だって、海外で業績上げてもそれら重役との接点が物理的に低く、彼らシニア重役の自尊心は何も満たせないのだから。
また、海外駐在員が本社への要求・支援事項は緊急度が高い場合が多く、優雅に波風立てないで過ごしたい重役の方々にとっては触れたくないのです。
②は転職活動をするとわかるのですが、求人企業側は対象国で駐在員経験、業務経験がある人材を優先的に採用します。つまり、駐在する(した)国の人材需要が高いかどうかで駐在員の価値が大きく変動します。
例えば、私はロシアで長く働きましたが、現在ロシアビジネスの求人なんてありません。
そう私がロシアビジネス特有の経験に関しては現在市場価値はほぼないに等しくなっています。
③は本社が日本人従業員に対して必要な人材教育を海外駐在員が適切に受けれないケースがある場合です。
日系企業はメンバーシップ型の雇用形態のため、業務に必要な知識、スキルの習得が明確に整備されている企業は少ないのですが、最低限の人材教育をおこなっています。
これら人材教育プログラムが海外駐在員の場合、対象外となり最低限必要な知識等が習得できないリスクがあります。
海外駐在員のメリット
一方で海外駐在員には多くのメリットが存在します。
これは駐在員の人材価値を高めるものです。
ゴルフが上手くなるとかは別にメリットではありません。ゴルフを通じた人脈形成ならわかりますが。
一方で①、②に関しては言うほど差別化にならないのも事実ですが、駐在員の方は①、②ですら出来ていない人も多いので記載します。
勘違いすると失敗する能力
さて、上記の駐在員のメリットで記載した中で非常に重要で勘違いしやすいものがこれです。
③権限委譲が広範囲に与えられるため意思決定力の向上
私はシニア海外駐在員経験者が別の企業で同じく海外駐在員に転職した方を何人かお会いした事がありますが、結構な割合で会社を去っています。
これは求人企業と転職者それぞれの確認不足もあるのですが、
単なる海外駐在員経験者が次の会社の海外子会社責任者等をやらせると大体失敗します。
「意思決定経験」はあるかもしれませんが、肝心の組織マネジメント力がない場合、
その人たちは「駐在員=本社人間だから現地従業員は何も言わずに従え」みたいな思考が多く大体オペレーションがガタガタになり、しまいには事業戦略を誤ります。
意思決定経験だけで経営なんてできません。
意思決定するためのあなたの専門領域もしくは会社経営、組織マネジメントに必要な確かなフレームワークはお持ちでしょうか?
ないのであれば、適当に海外生活をエンジョイしているだけの駐在員です。
今と企業を辞めないで頑張られた方が絶対良いです。
海外駐在員にそれほど市場価値はない。行くなら片道切符、終身雇用の覚悟で
結論ですが、海外駐在員はキャリアに有利になるかどうかは所属企業次第、また転職における求人は多くないと考えた方が良いです。
もし海外駐在員を軽視している企業であれば、駐在しない事を勧めます。
一方で海外に行くと楽しみが沢山あります。
そういう意味では人生を楽しく過ごすのには非常に有利だと思います。
どっちつかずが一番良くないので、遊ぶなら遊びつくした方が良くて、今の企業でずっと勤めるのが良いです。
他方、海外駐在員が現地で大きな裁量を得るため、その経験を元に転職してキャリアアップを図りたいと言う動機も理解できます。
しかしながら、十分な知識や能力がないのに経験だけで転職するリスクを認識してほしいです。
何が何でも転職に誘導されて転職エージェントの餌食にされたくないのです。
失敗して会社を去ったシニア人材を何人も見ていますので、、
海外駐在員が転職を成功させるには
これは個人的な意見です。
「専門性を磨く学習、スキル習得」
「将来有益な人脈形成」
これです。MBAでも良いし、キャリアコンサルタントでも他いろいろと何でもあります。
あなたが今後専門性を高めたい領域を駐在員中に学習するのです。
そして、あなたの将来で価値を生む人脈形成をおこないましょう。
まあ、今は日系企業の給与が相対的にどんどん低くなっていますから、日本人駐在員は現地で遊ぶお金ないのも事実です。
だからこっちで学習するのも良い作戦ですね。
以上、将来を見据えて一歩づつ頑張りましょう。
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