中小企業診断士2次試験 事例Ⅳ(財務)攻略法その3

2次試験

今回は事例Ⅳの問題で難易度が最も高い意思決定会計についてです。

結論から言うと80分で解けないです 笑
計算力も必要ですが、設問の理解力も問われ、中々癖がある問題多いんですよね。
しかも、事例Ⅳは毎年難易度が顕著に上がっています。
試験委員が変わり、中小企業診断士として高い財務面での能力が今後さらに求めらている背景があるのだと思います。
ただ、事例Ⅳで設問1や2でつまづくと意思決定会計の問題を解く時間が本当にありません。
よって、時間がなければ、少なくとも「計算の公式」だけ書こう!

さて、意思決定会計は設備を投資する際に投資経済性を評価し、投資すべきか判断する事です。
投資経済性はキャッシュフローを求めNPVを用いるのが一般です。

一方で2次試験事例Ⅳの初学の方に理解して頂きたいのは、「キャッシュフロー」に関連する設問は大きく3つあり大まかにこれを理解した上で計算問題に取り組んで頂ければ理解速度が格段に速くなります。

3つのキャッシュフローを使用する設問

3つのキャッシュフロー問題

会計・財務の1次試験を学習しキャッシュフロー計算書を皆さん作成できるようになられているかと思います。そして、それを理解した上で設備投資などの経済性(投資経済性)について正味現在価値(NPV)を計算して求める。とても簡単ですね。

しかしながら、2次試験では時間的な制約もあり、どうやってキャッシュフローを計算すれば良いのか悩むときがあります。

よって、まずはキャッシュフローを使用する問題は3つあり、事例Ⅳの設問で使用されている用語と合わせて理解してしまいましょう。
設問には出題者が受験生に対して求めて欲しい内容のヒントを与えてくれてますので、その意図を理解し解いていきましょう。

1.営業キャッシュフロー(営業CF)=キャッシュフロー計算書の問題
設問(与件文)で「営業キャッシュフロー」と記載されている場合はキャッシュフロー計算書を解く問題です。

2.税引後キャッシュフロー(税引後キャッシュフロー)=意思決定会計(投資経済性)の問題
設問(与件文)で「税引後キャッシュフロー」と記載されている場合は意思決定会計NPVを求める問題で、最も難易度の高い。
この設問は最後に解きましょう。

3.フリーキャッシュフロー(FCF)=企業価値の問題
設問(与件文)で「フリーキャッシュフロー」と記載されている場合は企業価値を算定する問題です。
この問題は「企業価値」を求めよと問われるケースが多いので迷うことはないかと思います。


キャッシュフロー計算書の問題(制度会計)の注意点

上記の営業キャッシュフロー及びキャッシュフロー計算書を解く問題ですが、意思決定会計問題よりも難易度は下がりますが、一方で出題の傾向としては

「減価係数の使い方などクセがある問題が多い」

これ本番で出されると本当に厄介で、クセのある部分をどうやって解くか知識、応用力が問われるため点数に大きく差が出ます。
しかも、キャッシュフロー計算書を解く問題で投資評価を絡めてくる問題は要注意!と言いますが、割り切って無視しても良い(笑

下記はある程度過去問題を解いた上で確認してください。あまり深入りしない方が良いかもしれません。

クセ①:200%定率法
200%定率法は定率法の償却率の「200%」で計算して減価償却費を計算する方法です。

定率法の償却率   =1/償却年数
200%定率法の償却率=定率法の償却率x200%

(平成25年度)設備投資100百万円、設備の耐用年数5年、残存価額0の場合の減価償却費を求める。
1)定率法の場合
  償却率=1/5年=20%
  減価償却費=100百万円x20%=20百万円/年(毎年一定)

2)200%定率法
  償却率=20% x 200% = 40%

年度1年目2年目3年目4年目5年目
減価償却費40.024.014.410.810.8

クセ②:キャッシュフロー計算書問題で投資性評価の問題が出た場合
これを書くと相当長くなるので、新たにページを割いて説明した方が良いかもしれませんが、一言でいえば

「キャッシュフロー計算書を用いて投資案の評価は”増えたCF額””増えた資産”を使い正味現在価値(NPV)を求める」
営業キャッシュフローを用いてNPVを計算する場合、支払金利分を差し戻す

①基本問題 :令和2年「営業CF、投資CFからFCFを求めNPV算出」
②難易度高い:平成24年「営業キャッシュフローを用いて正味現在価値法で投資案評価」

平成24年度の問題はFCF(営業利益)を用い計算すると間違わないのですが、
営業キャッシュフローを用いる場合は支払金利を差し戻す必要が出てくるため難易度が高くなります。

正味現在価値(NPV)は既に金利で割引されているため、FCFの計算で金利分を引くことは金利を2重に払っているようなものです。


企業価値の問題(FCF法)

注意点

WACCWACCの計算式で負債は負債合計を使う?負債資本(短期+長期借入額)を使う?
→設問内容で判断
(平成24年は負債資本が正解=設問に負債コストと書いておらず、「負債資本」と書いているため)
何年目のFCFを用いて企業価値を計算するの?企業価値算定に使うFCFが1年度のFCFなら減価する事!
企業価値=FCFx(1+成長率)/(WACC-成長率)
株価も同じく何年目?株価=1期後の配当/(割引率ー配当成長率)

増加した資産=1年後の増加CF/(割引率ー成長率)
増加した資産=CFx(1+成長率)/(WACCー成長率)

これは過去問を一度解いてみるのが理解早まると思います。
平成30年、平成24年参照してください。

おわり

以上、意思決定会計の前にキャッシュフローを使用する問題2つに関して簡単なまとめです。

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