中小企業診断士2次試験 事例Ⅳ(財務)攻略法 その2

2次試験

今回は事例Ⅳで鉄板の出題項目について記載します。
重要なのは前回にも述べましたが毎日問題を解く事です。
私は過去問を何回も解きましたが、下記30日完成!事例Ⅳも定番の問題集です。

Amazon.co.jp: 30日完成!事例IV合格点突破計算問題集 : 杉山 淳, 宗像令夫, 石田美帆: 本

収益性分析

分類指標計算式主な問題点(与件文の情報)
収益性売上高総利益率(売上総利益/売上高)x100(%)収益性が低い
収益性売上高営業利益率(営業利益/売上高)x100(%)販管費の負担大
収益性売上高経常利益率(経常利益/売上高)x100(%)金利の負担大
効率性有形固定資産回転率売上高/有形固定資産(回)設備の老朽化、遊休資産、過大投資
効率性棚卸資産回転率売上高/棚卸資産(回)過剰在庫、製品ラインが多すぎ
効率性売上債権回転率売上高/売上債権(回)取引先の依存、売上債権の回収効率悪い
安全性流動比率(流動資産/流動負債)x100(%)流動資産が少ない
安全性当座比率(当座資産/流動負債)x100(%)現金・売上債権が少ない
安全性固定比率(固定資産/自己資本)x100(%)短期借入金で固定資産購入
安全性固定長期適合率(固定資産/(固定負債+自己資本))x100(%)短期借入金で固定資産購入
安全性自己資本比率(自己資本/総資産)x100(%)内部留保が過小、累積赤字
安全性負債比率(負債/自己資本)x100(%)負債(特に借入金)が過大
生産性付加価値額売上高-外部購入価値中小企業庁方式(控除法)
生産性付加価値額人件費+経常利益+賃借料+営業外費用+租税公課日銀方式(加算法または積上法)
※与件財務諸表に費用明細が記載
生産性労働生産性(営業利益+人件費+減価償却費+賃貸料+租税公課)/従業員数※与件財務諸表に費用明細が記載

1.指標選択の原則
収益性、効率性、安全性、生産性の指標をそれぞれ使って回答する。
(収益性2つ、効率性1と言った回答の仕方は望ましくないと言われています。)

今までは収益性、効率性、安全性の3つでした。
しかし、令和4年度から生産性まで問われるようになりました!

私は試験前日に試験会場近くのホテルを取り、喫茶店で白書を読み返していて、労働生産性の計算式をファイナルペーパーにメモしたのですが、このおかげで乗り切れました。
いやー、運ってあるんですね(笑


2.指標選択で迷ったら?
「与件情報で与件文には問題点として書いてないが、財務情報では問題点として挙げられる場合」
「与件文では問題点(弱み)として記載されているが、その指標を計算した場合それほど異常値でもなかった場合」

どちらを回答に採用すべきか?
→私は後者を選択していました。与件文で問題点(弱み)として挙げているがその指標が言うほど問題にならなくとも、与件文でわざわざヒントを出してもらっているので使わない手はありません。

CVP分析(損益分岐点分析)

CVP(Cost-Volume-Profit)分析は私のような経営者にとっては必須の指標です。
管理会計においてCVPと原価計算方式(直接原価、全部原価)の取り扱い(定義)が最重要となります。

基本式利益=売上高×(1-変動比率)-固定費
(※利益は営業利益?経常利益?設問をしっかり確認する)
損益分岐点売上高固定費/(1-変動比率)、固定費/限界利益率
損益分岐点比率損益分岐点売上高/実際の売上高x100(%)
安全余裕率100ー損益分岐点比率(%)
営業レバレッジ限界利益/営業利益=1+固定費/営業利益
営業レバレッジ固定費負担大きい=営業レバレッジ大きい=損益分岐点売上高が高い(経営不安定)

※要点
丁寧に横着しないで解くこと。適当に説いても時間短縮は1分,2分程度です。
私は特にケアレスミスが多いタイプだったので、問題を解くとき+や-の符号をしっかり書いて、足し算、引き算ミスをしないよう心掛けていました。

また、販売量の指標を忘れずに確認してください。減価償却費は販管費に影響するので計算して入れるかどうか確認してください。

セールスミックス(貢献利益)

限界利益売上高ー変動費
貢献利益限界利益ー個別固定費
(=売上高ー変動費ー個別固定費)
営業利益(or経常利益) 貢献利益ー共通固定費
(=売上高ー変動費ー個別固定費ー共通固定費)

※考え方
・単位当たりの限界利益(MC)の大きい順に生産 ※単位が時間の場合、時間当たりの限界利益
・ただし、貢献利益が負の場合は生産しない
・貢献利益がプラスの時は共通固定費の一部を回収、廃止すると全体の営業利益が減少するので廃止しない。

企業価値(DCF法)

企業価値=FCF/WACC
=負債価値+株式(株主)価値
WACC(加重平均資本コスト)=(E x re + D x rd x (1-t))/(E+D)
E:自己資本、D:負債、re:自己資本コスト、rd:負債コスト
株式価値(V)ゼロ成長:V=D/r
定率成長:V=D/(r-g)

※要点
・企業価値算定に使うFCFが1年後のFCFならしっかり減価しましょう。
 →企業価値=FCFx(1+成長率)/(WACCー成長率)の計算となります

為替予約、オプション取引

輸入時ドルのコールオプションの購入(コール=買う)円高時は権利放棄し為替差益を享受し、円安時は権利行使し為替差損を回避。デメリットはオプションプレミアム負担
輸入時ドル通貨購入の為替予約為替予約時に為替レート確定するため、円高時は為替差益を享受できない、円安時は為替差損を回避できる。
輸出時ドルのプットオプションの購入(プット=売る)円高時は権利行使し為替差損を回避、円安時は権利放棄し為替差益を享受。デメリットはオプションプレミアム負担。
輸出時ドル通貨売却の為替予約為替予約時に為替レート確定するため、円高時は為替差損を回避、円安時は為替差益を享受できない。

輸入時=外貨で製品を購入し、外貨で支払う
輸出時=外貨で販売、外貨で入金されたものを円に換金

キャッシュフロー計算書(間接法)

I 営業活動によるキャッシュフロー

税引前当期純利益+PL数値
減価償却費+非資金費用の調整
貸倒引当金の増加額+非資金費用の調整
受取利息及び受取配当金営業利益への修正(営業外収益・費用、特別利益・損失を逆算)
支払利息有形固定資産売却益+営業利益への修正(営業外収益・費用、特別利益・損失を逆算)
売上債権の増加額運転資金差額の調整
棚卸資産の増加額運転資金差額の調整
仕入債務の増加額+運転資金差額の調整
小計
利息及び配当金の受取額+その他の調整
利息の支払額その他の調整
法人税の支払額税金の支払い
営業活動キャッシュフロー

Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー

有価証券の取得による支出有価証券による調整
有価証券の売却による収入+有価証券による調整
有形固定資産の取得による支出有形固定資産による調整
有形固定資産の売却による収入+有形固定資産による調整
投資活動によるキャッシュフロー

Ⅲ財務活動によるキャッシュフロー

短期借入による収入+短期借入金による調整
短期借入金の返済による支出短期借入金による調整
長期借入による収入+長期借入金による調整
長期借入金の返済による支出長期借入金による調整
社債の発行による収入+その他の調整
株主の発行による収入+その他の調整
配当金の支払額その他の調整
財務活動によるキャッシュるフロー

※要点
営業CFの問題は減価係数の使い方などでクセがある問題が多い
・経過勘定(前払費用、前受収益、未払費用、未収収益)と前受金、前払金、未払金に注意して計算



※その他(キャッシュフロー計算書作成問題ではないので無視してOKです)
・FCF計算時における支払金利の取り扱いは?
 FCF上では金利分を入れて計算しては駄目です(NPVにする際に割り引くため2重に割引される事になる)
 「営業CF」の記載が与件文、設問にある場合は制度会計に基づく計算を要求されるため、金利分を引いた税前利益と税金金額でOK

おわり

次回は皆さん大好きな意思決定会計です。

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